先ほどテレビで「世界一面白い授業」という番組をやっていて、その中でベートーベンの人生を曲と共に照会していた。聴力を失ってからあの「田園」を書いたのだという。その曲のなかに、かっこうやうずらの声を表したメロディーがある。それでちょっと子どもの頃に見たテレビの一場面を思い出した。


それは自分ではディズニーランド(という番組名だったか)のある日のプログラムだったと思う。ベートーベンの生涯をドラマ化したもので、そのなかで耳が聞こえなくなったベートーベンが小さな少女と田園の中を散歩している。その少女は目が見えないのだった。


ベートーベンが先に言ったのか、はたまた少女が先に見つけたのか、かっこうがいる、とどちらかが言ったのだ。少女だったのかもしれない。わたしが覚えているのは背の高い大人のベートーベンが、ちいさな少女に「わたしは声は聞こえないが、かっこうの姿は見えるのだよ」と言って、少女はたぶん「かっこうの声がする」と言ったのだろう。


その一場面だけが、くっきりと蘇る。それは田園の小道で、そばに背の高い木々の繁る森がある。田園には日がさんさんと差していて、木々の間にも日は差し込んでいる。ベートーベンはやさしそうに少女を見下ろしてしゃべっている・・・。という場面である。


この話の他のところはまったく覚えていないのだが、この場面のみ覚えているのはなぜだろう。小さいころたしか4チャンネルで週一度の一時間番組だった「ディズニーランド」。夢の国、冒険の国・・・と四つの国に分かれていて、いちばん好きだったのはアニメをやる日だった。


たとえばコヨーテのアニメ。「ぴよぴよぴょぴよーん、おいらはびんぼうぐらし・・・♪」の歌と、貧弱なコヨーテ仲間は今でも覚えているし、あと、首の無い幽霊を乗せた馬の話もあった。いつのまにか、ディズニーランドではアニメをやることはめったになくなってしまった。


子どものときに見た映画やテレビというのは、たとえ一場面でもいつまでもどこかしらに残って、なにかひとに影響を与えるのだと思う。