今日横須賀に久しぶりに行ったら、原子力空母の反対デモ隊がのろのろと歩いていた。よく、デモをするのである。二十人ぐらいが、もちろん許可を取ってであろう、警察官一名に付き添われて、道路をブッブーと音楽を鳴らしながら、横断幕を掲げて歩いている。


ときどきこのデモの行進に出会うが、その歌がいつも覚えやすくて頭の中に残る。今日のは「はやーくもどせよじえいたい♪」というのと、「むりやり行かすなじえいたい♪」というのを幾度も幾度もリフレーンしている。たぶん、ドドドドミミミミレレーレドだと思う。


歩きながら鳴らしている楽器はトランペットみたいな吹奏楽器と、あとなんだろう、バンジョーみたいな音がする弦楽器。悲しいかなわたしは音楽がさっぱりなのでこの程度しかわからない。ぶおーん、ぶおーんという、いかにも田舎じみた昔のフォークみたいな懐かしい音。


駅のそばの公園を歩くと、湾の向こうは米軍の基地。そしてその左奥は海上自衛隊の基地である。その、のんびりとした抵抗の歌が、波の穏やかな湾を伝わって、よく潜水艦のあたまがちょこりと覗いている波止場まで伝わっていく。


しかし、この曲はちょっとアメリカのカントリーミュージックにも似ている。あるいはソウルと言ってもいいのかな。素朴で、いなかっぽくって、よく、聖歌にもこんなすぐ口端にのぼるような曲がある。これを聞いた向こう岸のガイジンさんたちはなんと思うだろうか。日本語はわからないだろうが、「オー、懐かしい」という感じはしないだろうか。


デモ隊の横断幕には「NO NO」とのみ英語でかかれている。あとは日本語である。もしかしてわざと、こんなカントリー風の曲にしたのかな。右翼の軍歌みたいな曲だったら米国人受けしないものね。なんて、こんなのんびりとしていていいのかな、わたしは。