新年の街に出て行く

人はみな

黒っぽい服を着て

足早に急ぐ

どこへ行こうというのか

息をしろくして。

人は皆

短髪で

ときおり

腕をくんだ

若者たちも見かけるが

みな、急いでいる

なにかを、心配している

あすは どうなるのか

そう思いつつ

駅へ急ぐ

社の階段を上る

亀が一匹

口を開けてこちらを見ている

亀は止まっている

人は列になって

賽銭を投げ

自分の無事安泰を祈る

急がなければ

急がなければ

ずいぶんと

からりとした

シンプルな正月である

人はみな、静かだ

なにを考えているのかわからないくらい、静かだ

わたしはそれを

遠くから見ている

あなたは、邪魔よ

なにかが言っている

それでもなにも感慨のない正月である